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大阪地方裁判所 平成2年(わ)315号 判決

本店所在地

大阪府羽曳野市野々上四丁目二八三番地の七一

日之出石油株式会社

(右代表者代表取締役 仲西日出男)

本籍

大阪府藤井寺市道明寺四丁目二二八番地

住居

同市道明寺六丁目二番一三号

会社役員

仲西日出男

昭和一七年一月一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官梶山雅信出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人日之出石油株式会社を罰金二五〇〇万円に、被告人仲西日出男を懲役一年に処する。

被告人仲西日出男に対し、この裁判の確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人日之出石油株式会社(以下、被告会社という。)は、大阪府羽曳野市野々上四丁目二八三番地の七一に本店を置き、ガソリン等の販売を目的とする資本金三〇〇〇万円(昭和六三年一二月二〇日以前は一五〇〇万円)の株式会社であり、被告人仲西日出男(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、

第一  架空仕入を計上するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六〇年九月一日から昭和六一年八月三一日までの事業年度における実際所得金額が八三五六万四九〇一円あつた(別紙(一)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年一〇月三一日、大阪府富田林市若松町西二丁目一六九七番地の一所在の所轄富田林税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二九一七万二八四七円で、これに対する法人税額が一〇〇七万三七〇〇万円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額三三六一万九〇〇〇円と右申告税額との差額二三五四万五三〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第二  前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六一年九月一日から昭和六二年八月三一日までの事業年度における実際所得金額が一億一一九〇万四五三五円あつた(別紙(二)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年一〇月三〇日、前記富田林税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二九二九万九三〇七円で、これに対する法人税額が一〇四三万五九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額四五一三万と右申告税額との差額三四六九万四一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

第三  前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六二年九月一日から昭和六三年八月三一日までの事業年度における実際所得金額一億四〇八二万三四六一円あつた(別紙(三)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年一〇月三一日、前記富田林税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三二三一万八四四八円で、これに対する法人税額が一一七〇万五一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額五七二二七万七二〇〇円と右申告税額との差額四五五七万二一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

(注)括弧内の算用数字は証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人に対する収税官吏の各質問てん末書(82から86、90から95、97、99、100)

一  藤里政宏、高峰博之、林英司、細谷満明、羽河幸子(54)稲葉昌子、稲場スエノ、仲西悦子、仲西良美、仲西博之、仲西良隆、仲西正己、中田正廣、小暮定夫、野見山英一、蟻原孝男、新居信弘、吉田恒夫、松原静枝及び永田三郎(70ないし72)に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書(46、48、49)

一  検察事務官作成の報告書

一  富田林税務署長作成の証明書(10)

一  被告会社作成の証明書

一  大阪法務局羽曳野出張所登記官作成の商業登記簿謄本

判示第一、第二の事実につき

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書(87)

判示第一、第三の事実につき

一  収税官吏作成の各査察官調査書(16、32、40)

判示第一の事実につき

一  米田昌弘に対する収税官吏の質問てん末書(74)

一  収税官吏作成の各査察官調査書(43、45)

一  富田林税務署長作成の証明書(4)

判示第二、第三の事実につき

一  服部博に対する収税官吏の質問てん末書(75)

一  収税官吏作成の各査察官調査書(34)

判示第二の事実につき

一  被告人に対する収税官吏の各質問てん末書(88、89、96、98)

一  永田三郎に対する収税官吏の質問てん末書(73)

一  収税官吏作成の各査察官調査書(12から15、17から31、33、35から39、41、42、44、47)

一  富田林税務署長作成の証明書(6)

判示第三の事実につき

一  羽河幸子に対する収税官吏の質問てん末書(55)

一  富田林税務署長作成の証明書(8)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

さらに、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、いずれも法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金二五〇〇万円に処することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 三好幹夫)

別紙(一)

修正損益計算書

自 昭和60年9月1日

至 昭和61年8月31日

(日之出石油株式会社)

〈省略〉

〈省略〉

別紙(二)

修正損益計算書

自 昭和61年9月1日

至 昭和62年8月31日

(日之出石油株式会社)

〈省略〉

〈省略〉

別紙(三)

修正損益計算書

自 昭和62年9月1日

至 昭和63年8月31日

(日之出石油株式会社)

〈省略〉

〈省略〉

別紙(四)

税額計算書

日之出石油株式会社

〈省略〉

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